ブログ

2022年01月05日 10時00分

ふくらはぎが痛い原因と深部静脈血栓

カテゴリー: モルフォセラピー

先日寝ていたら、右脚のアキレス腱からふくらはぎにかけての強い痛みで目が覚めた。前の日に壁のペンキ塗りでハシゴを昇り降りしていて足首を捻挫したのだろうか。


 足首の捻挫には主に2つのパターンがある。一つは足首をひねって外くるぶしに痛みが出るもので、これは誰もが一度は体験しているだろう。もう一つは少し特殊だが、爪先立ちで踊るバレリーナに多く見られる捻挫である。この場合、脛骨と距骨との間にズレが生じてアキレス腱やふくらはぎに痛みが出る。バレエでなくても、爪先から飛び降りたり、ハシゴ仕事などでも同様の捻挫は起こる。


 だがどちらも治療はかんたんだ。足首をもって少し足を引っ張りながら、ゆっくりと正しい位置に戻してやるだけでよい。この矯正がうまくいけば、その場で痛みが消えて少々の腫れならすぐに引いていく。


 もちろんこれらの捻挫は骨や靭帯が損傷しているものを除く。逆に病院では、アキレス腱やふくらはぎに痛みがあっても骨や靭帯に明らかな損傷が見られなければ、それが捻挫のせいだとは考えない。その結果、全く関係のない治療をしてしまうことがあるのだ。


 例えばあるバレリーナなどは、ふくらはぎの痛みで2度もアキレス腱の手術を受けたが、症状が全く改善しなかったため引退を余儀なくされた。他にも、ふくらはぎが痛いのは持病の自己免疫疾患が悪化したからだと診断されて、免疫抑制剤の投与量を増やされた人もいた。だが二人とも、上記の手順で軽く足首を矯正しただけでその場で症状が消えたのである。


 では私のふくらはぎの痛みはどうなったのか。寝床から起き上がるのが面倒だったので、横着をして寝たままの姿勢で矯正を試みた。左足の親指と人差指で、痛みの出ている右足首を挟んで引っ張ってみたのだ。ふつうなら完全でなくてもある程度まで戻すだけで自然に痛みが引くものだからである。


 ところがそのまま寝てしまおうとしたのに、先程よりも痛みが増してきた。あまりの痛みに起き上がって足首を調べてみると、捻挫ではなさそうだ。
 原因が捻挫でなければ、疑われるのは腰椎3番、5番のズレである。腰に手をやると案の定、腰椎3番が大きくズレている。どうも自分の体となるとおざなりだが、とりあえず3番のズレを戻してみると痛みがかなり引いたので眠りについた。そしてあくる朝には完全に痛みは消えていた。


 このようにふくらはぎの痛みというのは、捻挫だと思ったら腰椎のズレだったり、その逆だったり、またそれら両方のこともある。両者の違いは、捻挫なら時間の経過とともに痛みが引いていくのに対し、腰椎のズレであれば時間がたっても痛みに変化がなかったり、痛みがもっと強くなったりしてしまうところだろう。


 また骨折の場合でも捻挫と似たようなことが起きる。病院ではもう骨は治っていると診断されたのに骨折時の痛みがそのまま残っているとき、背骨のズレを戻してやると痛みが消えることがある。これは珍しいことではないので、日ごろの施術で同様の経験をされた方もいるだろう。


 さて、ふくらはぎの痛みで注意しなければいけないのは深部静脈血栓の存在だ。昭和46年(1971年)、当時の横綱「玉の海」が虫垂炎の手術を受けた後に深部静脈血栓を発症し、その血栓が飛んで肺塞栓を起こして亡くなった。まだ27歳だった現役横綱の急死は社会的にも大きな衝撃であったため、このニュースのおかげで一般人だけでなく医療の現場でも血栓の恐ろしさが認識されるようになったのだ。


 その後、深部静脈血栓はエコノミークラス症候群として広く知られるようにもなった。しかし狭い場所で長時間動かずにいることでふくらはぎの部分に血栓ができるので、飛行機に乗らなくても発症する。


 血栓の有無は、ふくらはぎの表面を少しずつなでてみると、指先にわずかに硬い組織が当たることで確認できる。もし患者さんに血栓があると判断したら、即座に施術を中止して循環器科の受診を強く促すべきである。何らかの刺激でその血栓が肺に飛んでしまったら命に関わるのだから、強い刺激を加えることなどもってのほかだ。


 かつて「こんなしこりなんか、もみ切ってしまえばいい」といって、ふくらはぎをゴリゴリもんだ治療家の話を患者さんから聞いたこともあるが、無知ほど怖いものはない。逆にいえば、知識ほど大切なものもない。われわれは施術を通して人の命に関わる以上、医療全般の知識を学び続ける努力だけは怠らないようにしたいものである。(花山 水清)


2021年12月01日 10時00分

医療の進歩をはばむ「ストレス原因説」

カテゴリー: モルフォセラピー

昭和も終わりのころ、日本はバブル経済に湧いていた。企業だけでなく個人までもが我先にと株や不動産投資に奔走し、右肩上がりの経済を支えていたのである。
 そんな世相を反映してか、「24時間戦えますか」と唄うドリンク剤のCMも流行していた。その一方で働きすぎの企業戦士たちは、体だけでなく心までも消耗した挙句、心身症を患う人が増えて社会問題にもなっていた。


 心身症とは今でいえば精神的ストレスによるうつ症状のようなものだ。だがその大きな違いは、心身症は体に原因を求めるのに対し、現代のうつ症状は心の問題が先にくる点だろう。この違いは医療にとっても大きな変化であった。


 古代から、体と心のどちらに重きを置くかは医療における最も重要なテーマだった。古代ローマのユウェナリスは「健全なる精神は健全なる肉体に宿る(べきだ)」と説いた。これは昭和のころまでは医学的にも当たり前の話だと考えられていたのである。


 ところが20世紀に入ると時代は大きく変わった。ハンス・セリエがストレス学説を発表して以来、いつのまにか腰痛からがんにいたるまで、体の病気の多くは精神的ストレスが原因だとする説が主流になっていった。つまりこれは、精神さえ健全なら体も健全だといっていることになる。


 実際この考え方を反映するようなできごともあった。2011年に福島第一原子力発電所が爆発したとき、被曝の影響を恐れる人たちに向かって「笑っていれば(被曝しても)がんにはならない」と公言した有名な医師がいたのである。これではほとんどカルトの世界だろう。


 私はストレスが原因で病気になるなどという話を聞くと、子供が「治らないのはボクのせいじゃないもん!」といって責任逃れしているようにしか思えない。医師が「ストレスが原因だ」といい切った時点で、彼には治せない病気だといっているわけだから、彼の手でその病気が完治する見込みもなくなってしまう。


 しかし科学が進歩すれば、これまでストレス原因説によって見放されてきた疾患が治る可能性はある。
 たとえばセリエの説いたストレス学説の3大症状の一つに胃潰瘍がある。胃潰瘍は心身症の代表的な疾患でもあり、原因は精神的なものだと考えられてきた。しかも放置すれば将来胃がんになるといわれ、患者の多くは胃の切除手術を受けていたのだ。
 ところが1983年にロビン・ウォーレンとバリー・マーシャルらの発見によって胃潰瘍の原因はヘリコバクター・ピロリ菌だとわかったおかげで胃を取られることはなくなった。


 この事実はストレス原因説の根幹を揺るがす一大事件だったはずだ。だがその後もストレス学説を誤用したストレス原因説の勢いは一向に衰える気配がない。私が危惧するのは、精神的ストレスが原因だといって思考停止しているうちは、疾患の真の原因にたどりつく可能性がない点である。


 2005年に『腰痛は「ねじれ」を治せば消える』を出版したときも、こういった風潮に対して一石を投じたつもりだった。腰痛は背骨のズレによって起こるのであって、精神的ストレスが原因ではないと伝えることが本書のいちばんのテーマだったのだ。


 しかし社会の大きな潮流は、一度方向が定まると容易には変えられない。だれもがこぞって同じ方向に流されてしまうものらしい。それゆえ、私はこれまでストレス原因説を真正面から批判したものを見たことがない。


 知り合いの医師にも、精神的ストレスが原因だとされる病態の多くは背骨のズレによる症状だと話してみたことがある。するとこの医師は「その背骨のズレの原因はストレスではないのか」と切り返してきたのだ。ここまでくると、もはや信仰である。


 西洋ではデカルトの心身二分論(心身二元論)の登場以降、医学は科学として発展してきた。ところが日本の場合、曹洞宗の開祖である道元が唱えた「心身一如」の考え方が今でも根強い。さらに戦時中の教育による「心頭滅却すれば火もまた涼し」といった精神論も、一定の効力を保持している。これらが医療の現場でも悪影響を及ぼし続けているせいで、原因不明の疾患は患者の精神によるものだと決めつける傾向が強いのである。


 もちろん私は精神的ストレスの存在そのものを否定しているのではない。だれしも片思いの相手に会えば、心がときめいて心臓は激しく鼓動を打つ。だがその状態が続いたからといって、片思いで心臓病になると考えることにはむりがある。今の医学には、こういった原因と結果をこじつけたような話が多すぎる。要するに腰痛がストレスにはなるが、ストレスが原因で腰痛にはならないのだ。


 しかし医療者の圧倒的大多数は、背骨のズレによる症状の存在を受け入れないままである。そして彼らがストレスを持ち出してこのような空論を交わしている間にも、救われない患者の数だけがひたすら増え続けている。このことを念頭に置いて、われわれはモルフォセラピーの技術の向上だけでなく、理論の普及にも個々人で努力していかなければならないだろう。(花山 水清)


2021年11月03日 10時00分

「痛い」のは悪いことなのか

「肩こりは日本人特有の症状だからアメリカ人にはない」
昭和のころにはこんな話がまことしやかに語られていた。しかし英語にも stiff neck や stiff shoulders という肩こりを指す言葉は存在する。またそれらのこりをほぐすマッサージも人気があるようだ。


 英語ではこりの場所である首は単数形の neckで、肩は当然複数形の shoulders だが、膵臓がんなどの特定の疾患になると、なぜか左肩だけにこりが現れることが知られている。もちろん「アシンメトリ現象」は左半身だけ感覚が鈍くなるのが特徴なので、両肩をマッサージしてもらっても、左右同じ力でもまれているはずなのに、左肩は押されている感じが弱い。


 通常のマッサージなどでは、押されて痛いところが悪いと考える。だから痛い部分を重点的にもんでほぐそうとする。しかし「アシンメトリ現象」の場合は、本来感じるはずの痛みが消えている状態を異常だととらえる。従ってこの異常を解消するためには、まずは鈍くなった知覚を痛みを感じる状態にまで戻す。それからその痛みを取り去るのである。


 「アシンメトリ現象」の解消を担うモルフォセラピーでは、背骨のズレの矯正が手技の主体である。以前はズレの矯正のほかに、神経刺激という特殊な手技を用いて知覚の異常を取り去っていた。がんなどの患者は左半身の知覚が非常に鈍くなっているので、ある特定の神経をピンポイントで狙って刺激を加えることで本来の知覚を呼び覚ます必要があったのだ。


 この手技が奏功すると、今までいくら強く押しても「押されているのかな」という程度だった感覚が突然変化し、軽く触れただけでも飛び上がるような痛みを感じるようになる。この段階になって初めて、その痛みを取り去る作業に移ることができる。しかもがんのように、この工程を経なければ治らない疾患は意外に多いのだ。ところが医学上は、このような知覚の異常の変化については全く知られていない。


 がんの治療では、抗がん剤や放射線を使うと患者が激痛を訴えるようになることがある。この痛みは「アシンメトリ現象」の鎮痛作用が解除された結果であるから、がん治療の第一関門をクリアしたことになる。しかし現場の医師たちにはその認識がない。痛いのは悪いことだとしか考えないので、モルヒネなどを使って痛みを抑え込もうとする。だがそういった疼痛治療で感覚が鈍くなって痛みを感じなくなれば、また元の木阿弥なのだ。


 痛みとは体の内部から発せられる警報のようなものである。火災が発生したら、装置が作動して警報が鳴ってくれなくては困る。しかしせっかく警報が鳴り響いているのに、装置を解除しただけでは家は燃え続け、しまいには焼失してしまう。要するに痛みだけ止めて、それで症状が治ったと思うのは大きなまちがいなのである。健康を考えるうえでこの認識はとても重要だ。


 がんの痛みだと診断されている症状も、実際には背骨のズレによる発痛作用の結果であることは多い。鎮痛剤などで痛みだけ止めても、根本原因であるズレを戻さなければ、その影響は残る。痛みの原因がズレであれば、そのズレを矯正すれば痛みは消える。この点でもモルフォセラピーは有用だろう。


 現在のモルフォセラピーでは、神経刺激の手技は背骨のズレの矯正のなかに集約されている。こまめに背骨のズレさえ戻しておけば、「アシンメトリ現象」が引き起こす多くの疾患の予防になるからだ。しかしすでに重症化した疾患に対する神経刺激の即効性も捨てがたい。神経刺激は手技の難易度が高いので修得に時間がかかるのが残念だが、興味のある方にはぜひともチャレンジしてみていただきたい。そして皆でさらに手技を進化させることで、がんなどに対する画期的な治療法が確立すると私は信じている。(花山 水清)


2021年10月06日 10時00分

新型コロナウイルスのワクチン接種と背骨のズレ

新型コロナウイルスが蔓延し始めてそろそろ2年になろうとしている。当初は単なる新種のかぜだろうぐらいの認識だったが、またたく間に状況が一変し、世界的なパンデミックとなった。
 モルフォセラピー協会の会員のなかにも大変な経験をした方がおられることだろう。私の昔の知人も感染して入院し、家族の面会も許されないまま病院で亡くなったと聞いた。果たしてこのまま収束に向かうのか。それとも今はまだ序の口に過ぎず、今後ますます猛威を振るうのか。その行方はだれにもわからない。


 仮にこの新型コロナウイルスの実体がつかめたとしても、確実に制御できるわけではない。それでも年初には一応ワクチンが開発され、世界的にも一定の効果が認められている。私もつい最近、2度目のワクチン接種を終えたところだ。しかし接種を決断するまでには大いに悩んだ。情報を知れば知るほど接種への意欲は遠のいたが、未摂取での感染による社会的影響を考慮して摂取に踏み切った。


 そもそもワクチンや抗ウイルス薬はどれも副作用(副反応)が大きい。作用と副作用を天秤にかけると、打つべきか打たざるべきかの判断は非常にむずかしい。特に新型コロナウイルスの場合、現行のワクチンは本人が接種したことで子や孫の世代にどのように影響するかが明確ではない。それだけにこれから子供を作る予定のある若い人にとってはなおさら悩みが深いだろう。


 高齢者である私にしても、2011年の原発爆発事故当時の記憶が強すぎて、政府が口にする「安全」という言葉に対してはどうしても疑いが先に来る。ましてワクチンへの疑問には、医師や病院、製薬会社、各国政府やWHOまで、それぞれの立ち場を優先した回答しか出てこない。人類共通の「絶対に正しい答え」など出てくる余地はないのである。
 ワクチンを打つ側の医師のなかにもワクチン接種を拒否している人はいるが、そういう情報をかき集めてみたところで確信のもてる答えなど出せるものではない。最終的には本人の野生の勘に頼るしかないのかもしれない。


 そんななか、モルフォセラピー医学研究所のS医師からおもしろい話を聞いた。
 ある70代の女性がファイザー製ワクチンの2回目の接種後、体温計では熱が出ていないのに手足が熱っぽい。体の節々だけでなく頭や腰も痛む。時間経過とともに少しずつ治まってはきたが、2週間たっても症状が続くので来院された。


 S医師が体を診ると、以前はこんなにズレていなかったのに頚椎下部、胸椎、腰椎がみなガタガタにズレていた。胸部肋骨もズレている。そこで背面から頚椎下部、胸椎、腰椎のズレを戻し、さらに前面から胸部肋骨のズレも矯正すると、手足の熱っぽさと体の節々の痛みや頭痛、腰痛が軽快した。それから1か月以上たつが体調は良好だという。要するにワクチンの副反応だと思われていた症状は、ことごとく背骨のズレによるものだったのだ。


 私も厚生労働省が発表したワクチンの副反応リストに帯状疱疹が名を連ねているのを目にして以来、背骨のズレのせいではないかと疑っていた。メールマガジンや本にも書いてきたように、帯状疱疹そのものは帯状疱疹ウイルスが原因だが、その発症にはまちがいなく背骨のズレが関与しているからだ。


 ワクチンに限らず、何らかの薬の副作用だといわれる症状が背骨のズレによるものだった例は多い。もちろんアナフィラキシーは除外されるが、薬に含まれる化学物質の作用によって背骨がズレたことが症状の原因だったのだ。
 ところが診断する医師たちに背骨のズレという認識がないと、薬が直接それらの症状を引き起こしているように見えてしまう。そのため対症療法に終始するばかりで、いつまでたっても副作用の原因にたどりつくことがない。
 
 実はS医師の他にも、当協会の会員からはワクチン接種後の体調不良が背骨のズレの矯正によって改善した例が寄せられている。今後より多くの症例が集まることで、ワクチン接種と背骨のズレとの因果関係も明らかになってくるだろう。新型コロナウイルスに関しては良い話がないので、私は会員の方々からの症例報告を楽しみにしている。(花山 水清)


2021年09月01日 10時00分

下顎は左にズレている

カテゴリー: アシンメトリ現象

先日、日本モルフォセラピー協会宛に、歯科技工士のT先生から大変興味深い内容のメールが届いた。そこには、3千人分の口腔模型を調べた結果、8割に下顎の左へのズレが確認できたと書かれていたのである。


 さらに下顎だけでなく全身が「左上がりの左らせん回転にねじれ上がっている」とも指摘されていた。この「左らせん回転」とは上体に向かう反時計回りの回転だと解釈できるから、これは明らかに「アシンメトリ現象」のことなのだ。


 これまでにも医学を始め、生物学や心理学などのさまざまな分野において、人体の左右差の研究がされてきた。ところが「左だけ」「右だけ」といった側性に関する研究はほとんど見当たらない。その点、T先生の研究データは完全に側性、しかも左一側性に関するものだから大変貴重である。


 かつて私も、知り合いの歯科医院の協力を得て歯型を調べたことがある。各地の博物館に所蔵されている古人骨を観察し、下顎の側性も探ってみた。しかし下顎というのは上顎にぶら下がった構造なので、その位置は固定されたものではない。そのため側性を計測する際の、基準となる歯列水平面が設定できないのである。このような状態では、たとえ最新の3次元計測器を使ったとしても、側性の変化までは調べようがない。


 ところがT先生は治療用スプリントの作製によって、「機能」を基準として側性を証明してみせた。これは歯科技工士ならではの功績である。この下顎の調査の結果が、私がこれまで実施してきた歯列不正の調査結果とも一致していたことは特筆に値する。


 では「アシンメトリ現象」による歯列不正とは、具体的にはどのようなものだろうか。歯列不正の歯型を詳細に観察すると、上顎の歯茎には絞り上げたように幾重にも斜めの筋目が入っている。そして左の前歯が右の前歯にかぶさる形で生えている。(写真参照)


 つまり歯列不正はランダムに起こるものではなく、何らかの規則性をもった力が働くことによって発生しているのである。もちろんその力とは「アシンメトリ現象」による左咬筋の緊張だ。アメリカの研究者による実験でも、ラットの咬筋を片側だけ切除すると頭蓋や歯列が著しく変形して歯列不正が発生していたので、この因果関係は明らかだろう。


 また上顎におけるひねりの力は、そのまま下顎にも影響する。この力は咀嚼筋による上下運動と相まって、歯列不正だけでなく顎関節症の原因にもなっている。顎関節症には頚椎のズレも影響しているので、それらのズレを矯正することで顎関節症の症状が治まることはご存じの通りである。


 「アシンメトリ現象」に対するモルフォセラピーの効果を検証している「モルフォセラピー医学研究所」でも、ズレの矯正によって顎関節症の症状が改善することが確認されている。さらに症状改善と同時に、噛み合わせの重心が中心に修正されることも機器による計測で明らかになった。


 「アシンメトリ現象」は目で見て確認できる現象である反面、これを数値に置き換えて客観的に証明するのはむずかしい。従って今回、機器計測によって「アシンメトリ現象」の存在とモルフォセラピーの効果を確認できた意義は大きいのである。


 当協会会員の多くも顎関節症などは施術対象として経験しているはずだ。しかしモルフォセラピーの効果を客観的に証明しようとするとなかなか厄介だろう。そこで今後は単に施術しておしまいにするのではなく、もう一段階進めて「効果の証明」という視点をもちながら、それぞれが研鑽に励んでいただけることを願っている。


(花山 水清)


2021年08月04日 10時00分

日本人のコメ信仰が「がん」を呼ぶ!?

カテゴリー: アシンメトリ現象

1980年代のバブル景気で海外旅行が盛んだったころ、日本人の多くはたかが3泊でも日本食を持参していた。本場で立派なフランス料理を食べたあとでさえ、コメのメシを恋しがっていたのである。


 西洋料理には肉が多い。従ってコメに比べて消化が良い。その分、日ごろコメを食べている日本人には腹もちが悪くて物足りなかったのだろうか。


 天武天皇による肉食禁止令(675年)から文明開化(1912年)まで、永きにわたって日本人は肉食をしてこなかった。そのうち「コメさえ食べていればいい」とまで考えるようになり、コメ信仰とも呼べる時代が長く続いた。


 しかしコメなどの穀物は消化に時間がかかるから、西洋人に比べると日本人は腸が長い。だからわれわれは胴長・短足の体型になったのだとまでいわれている。
 確か昭和のころ、国際線の飛行機に日本人が乗るとトイレのタンクがすぐいっぱいになると話題になっていた。当時の航空会社のデータによると、日本人の排泄物の量は西洋人の倍もあったという。それだけ食物繊維の摂取量が多かったのだから、腸が長くなって胴長にもなるわけだ。


 とはいえ、依然としてわれわれのコメに対する信頼は厚い。そのせいでこれまで米飯食のデメリットが語られることはあまりなかった。だがコメや野菜に含まれる食物繊維の消化は、胃や腸に大きな負担をかけている。実はこのことが「アシンメトリ現象」に影響している可能性があるのだ。


 前回は、コメなどの炭水化物に含まれる糖質が「アシンメトリ現象」を助長していると説明した。さらに炭水化物の残りの成分である食物繊維の影響も無視できないことがわかってきた。


 そもそも人間は、草食動物のように食物繊維を分解するための酵素も細菌ももっていない。つまり食物繊維を摂っても、栄養素として取り込むことができないのである。食物繊維を分解できないから、食物を消化管に長時間滞留させることになる。すると胃で血流が滞って、交感神経による血流の切り替えもスムーズにできなくなる。


 しかも血液と貯留した食物の重量も胃に負担をかけている。胃は体の左側に位置するので、その重量が増加すれば体の重心はますます左に片寄る。それが抗重力筋である脊柱起立筋の左側の緊張を増幅させ、結果として「アシンメトリ現象」を悪化させていると考えられるのだ。


 では人間にとって食物繊維の役割とは何だろう。一般的には食物繊維の摂取は腸のお掃除などといわれる。それが便秘の解消につながると信じられてきた。
 しかし実際のところ腸に掃除など必要なのだろうか。食物繊維を摂って一時的に大量の便が出るのが、果たして好ましいことなのか。
 仮に食物繊維が「アシンメトリ現象」を助長していたならば、便秘の解消どころか消化器疾患の引き金になっている可能性すらある。


 以前、世界的に見て日本人には異常に胃がんが多かった。そのため胃がんは日本人の国民病ともいわれていた。諸説はあっても、その本当の原因は当時も今もわかっていないのだ。


 ところが胃がんの原因が、コメが主食だったせいだとしたらどうだろう。米飯食による糖質と食物繊維の過剰摂取だけでなく、コメの胚芽に含まれるアルカロイドや農薬などの有害物質を摂り続けた結果、「アシンメトリ現象」が悪化し、それが胃がんの原因になったのではないか。


 逆に近年胃がんが減ったのも、コメを食べる人が減ったからなのかもしれない。もしそうなら、コメ文化に誇りをもつ民族としては受け入れ難い話だろう。コメ好きの私としてもこの結論はうれしくはない。


 もちろん前回の糖質の話と同様、食物繊維の「アシンメトリ現象」への影響もまだ仮説の段階だ。しかし今後の研究課題として、ぜひあなたにも食物繊維について考える機会をもっていただけたらと思っている。


(花山水清)


2021年07月07日 10時00分

糖質は人類にとって敵か味方か

カテゴリー: アシンメトリ現象

「アシンメトリ現象」とは、人体の左半身の形態と知覚が特異的に変化する現象である。
この現象は腰痛からがんにいたるまで、さまざまな疾患と密接なかかわりをもっているのだ。


 従って、人体から「アシンメトリ現象」を取り去ることができれば、それらの疾患も消去される。
モルフォセラピーは、この「アシンメトリ現象」を取り去るために開発された療法なのである。


 モルフォセラピーでは、「アシンメトリ現象」を悪化させている背骨のズレへの矯正が主体となっている。
その矯正による効果を見れば、「アシンメトリ現象」と疾患との因果関係を実感できるはずだ。
だがモルフォセラピーで背骨のズレには対処できても、「アシンメトリ現象」の根本原因までは解消できない。


 そもそもなぜ「アシンメトリ現象」が出現するのか。
まだその原因が完全には特定できていないのである。
これまでの調査による状況証拠では、食品添加物や殺虫剤などの化学物質、魚介類に含まれる水銀などの重金属のほか、放射線の影響も考えられる。


 もちろん生活習慣や加齢が関与している可能性もある。
それらが複合的に作用することで「アシンメトリ現象」を引き起こしているのだろう。
結果として現在の地球環境は、「アシンメトリ現象」の犯人を特定するよりも、犯人でないものを探し出すほうが難しい状況になっている。


 私は当初、「アシンメトリ現象」の原因物質の最有力候補は、植物毒であるアルカロイドだと考えていた。
古代において人体に有害な物質といえば、ほかには候補が見当たらなかったからだ。
ところが最近になって、なんと糖質が犯人候補として浮上してきたのである。
つまり「アシンメトリ現象」の出現も、人類が農耕を始めた1万年前にさかのぼることになる。


 糖質は、脂質、たんぱく質とともに三大栄養素として、人類には重要かつ不可欠なエネルギー源だと考えられてきた。
しかしここ数年の間にその地位は大きくゆらぎ始めている。


 イスラエルのテルアビブ大学の最新研究によると、本来肉食だった人類は200万年にわたる過剰狩猟によって地上の大型獣を食い尽くした。
そこで主要な食糧源を失った人類は、1万年前ごろから植物性の栄養源を取り入れることで次第に雑食化していったというのだ。


 動物の食性は、肉食・草食・雑食の3つに分類され、これまで人類は雑食だといわれ続けてきた。
しかし肉が手に入らなくなった人類は仕方なく農耕を始め、そこで食性を大きく変えて雑食になったのである。
このような食性の急激な変化が、さまざまな疾患を生み出す原因になっていると私は考える。


 その代表が虫歯だろう。
虫歯の原因が糖質なのはだれもが知っている。
ところが糖質が人間本来の食性に適するものであれば、他の草食や雑食の動物のように、糖質をとっても虫歯になどならないはずなのだ。


 食性の変化が疾患の原因となり得ることは、草食動物である牛に肉骨粉を与えたせいで狂牛病が発生したことでもわかる。
さらに近年の研究では、糖質の摂取は糖尿病だけでなく、発がんにまで影響するといわれている。
そしてこの糖質の摂取が「アシンメトリ現象」にも影響している可能性があるのだ。


 だが仮に糖質が「アシンメトリ現象」の原因物質の一つであるなら、他の有害物質とちがって、実験的に食餌から排除してみることも可能だ。
糖質の影響を抑制できれば、モルフォセラピーの効果もさらに向上するかもしれない。
このことは、「モルセラ医研」の今後の研究テーマとしても期待されているのである。


(花山水清)


2021年06月02日 10時00分

モルフォセラピーとは何か

カテゴリー: モルフォセラピー

モルフォセラピーとは何か。
一言でいうなら「アシンメトリ現象」を解消する療法である。


 では「アシンメトリ現象」とは何だろうか。
「アシンメトリ現象」は、人体の左側に現れる特異的な現象のことであり、おどろくほど広範囲の疾患と密接に結びついている。
したがってモルフォセラピーが対象となる疾患も、自ずと広範囲に及ぶ。
モルフォセラピーは、この「アシンメトリ現象」の原因となっている「背骨のズレ」を、手技によって矯正する療法なのである。


 私はこの「背骨のズレ」に規則性があることを発見した。
その規則性にのっとって矯正を行えば、だれがやっても同じ結果が出せる。
これが「モルフォセラピーには再現性がある」という意味なのだ。


 そして再現性とは科学の第一義でもある。
つまりモルフォセラピーは、「信じる・信じない」といった信仰や、まやかしを必要としない科学的な療法だといえる。
だから、私はだれにも「モルフォセラピーを信じなさい」とはいわない。
逆に疑いをもちながら実践し、施術を通して検証してみてほしいと思っている。


 そもそもモルフォセラピーは、「アシンメトリ現象」の解明がテーマである。
「アシンメトリ現象」の原因や成り立ちを解き明かすことによって、「アシンメトリ現象」を伴う腰痛やがんといったような疾患のしくみまで解明できると考えられるからだ。


 「アシンメトリ現象」は体の左側だけに現れる。
こういった左右差については、医学だけでなくさまざまな学問分野でも研究されてきた。
ところがそこでは、単なる左右差についてしか注目しない。
左だけ、右だけといった、側性にまで言及されることがないのである。
実は単に「左右差があること」と、その「左右差に側性まであること」とでは、問題の意味もレベルも全く違うものになる。
「アシンメトリ現象」の最大のポイントは、そこに「左だけ」という側性がある点なのだ。


 科学の世界では、自然現象のなかから対称性や規則性を見つけることが最も重要だとされる。
つまり「アシンメトリ現象」の発見とは、科学史に残るほどの大発見なのである。


 しかもこの発見は、医学的な問題だけにとどまらない。
何よりも重要なのは、「アシンメトリ現象」が示す左右の非対称性の意味である。
虫や鳥の絶滅種では、羽の長さなどが左右非対称になることがある。
これは生物学ではよく知られた事実だ。
そのため、ある生物が左右非対称になっていないかを調べることで、その環境の安全性の指標にすることもある。
これまでは人類がその調査の対象になったことはない。
しかし私は、「アシンメトリ現象」の存在は左右差の指標として最適だと考えているのだ。


 実際、この半世紀で「アシンメトリ現象」は急増している。
日本だけでなく地球のほぼ全地域においても同様だ。
これは「アシンメトリ現象」の原因となる物質が、地球環境中に増加しているからに他ならない。


 その原因物質はまだ特定できないが、状況証拠として考えられるのは、農薬や食品添加物などの化学物質、重金属、放射線の存在だ。
さらに現在は無害だとされる物質も影響している可能性はある。
それらが徐々に環境中に蔓延し、閾値に近づいたことで人体に直接影響が出るようになったのではないか。
「アシンメトリ現象」が急激に低年齢化しているのも、その結果なのである。


 それゆえモルフォセラピーが目指すところも、単に「背骨のズレ」が引き起こす個々の疾患の解消だけではない。
今後さらにモルフォセラピーの実践者が増えることで、「アシンメトリ現象」の問題に当事者意識をもった仲間も増える。
彼らの叡智を結集して、人類の危機に対処することが最終目標なのである。


(花山水清)


2021年05月27日 17時26分

モルフォセラピーの未来

カテゴリー: モルフォセラピー

 現在モルフォセラピーの会員は全国で500名以上にもなる。
そのうちプロとして登録して活躍している方も100名を超している。
まだ小規模とはいえ、「日本モルフォセラピー協会」が設立されて10年にも満たないのに、この数字は頼もしい。


 しかも昨年は、医師の関野吉晴先生を代表とする「モルフォセラピー医学研究所」が設立された。
当研究所では「アシンメトリ現象」の原因の解明が期待されている。
そこで改めて、私が思い描くモルフォセラピーの展望をお伝えしておきたいと思う。


 当初からモルフォセラピーの目標は「腰痛からがんまでを家庭で治せるようにする」ことにある。
その結果、モルフォセラピーは従来の民間療法の枠を越え、医療の概念を覆す、いわば革命となるものと認識している。


 従来は、病気には医療の専門家がその治療に当たっていた。
しかしモルフォセラピーの技術を用いれば、おどろくほど多くの病気が家庭や職場の身近な人の手によって気楽に対処できるのである。
これはだれもが理想とする形だが、現実にはあり得ないことだと思うだろう。


 ところがモルフォセラピーの最大の特徴は再現性にある。
モルフォセラピーにおける再現性とは、同じことをやればだれでも同じ結果が得られるという意味である。
もちろん技術の巧拙によって、結果に多少の違いはある。
しかし逆に、今日モルフォセラピーを覚えたばかりの人が、ベテランよりも鮮やかに治してしまう可能性もあるのだ。


 したがってモルフォセラピーが普及していけば、近い将来、治療の専門家の出番は減少する。
だが今後モルフォセラピーの習得者には、治療家としてだけでなく、技術普及の指導者として活躍していただきたい。
そしてモルフォセラピーを世界中の家庭へ伝える役割を担っていただきたいのである。


 さらにいえば、モルフォセラピーは未完の療法である点も認識しておきたい。
私は「アシンメトリ現象」の原因の解明とモルフォセラピーの技術開発に20年以上の歳月を費やしたが、「家庭でのがんの完治」にはまだ到達できていない。
ぜひ、その技術革新にもご協力いただきたいのだ。
協会の設立以来、加速度的に実践者が増えたおかげで、技術の進化速度も格段に向上した。
そこには無限の可能性があり、モルフォセラピーの将来には明るい展望がある。
 
 実は民間療法の世界では、小さなお山の大将の一代で終わる人が圧倒的に多い。
それは「自分が」「自分だけが」といった我欲に支配されて本質を見失うからだ。
モルフォセラピーの本質は利他の精神にある。
みながその自覚をもって共に学んでいけたら、そこには夢のようなすばらしい世界が待っていると私は思っている。


(花山 水清)


  • 認定施術院
  • 協会概要
  • お問い合わせ
  • メディア掲載
  • 書籍・DVD

メルマガのご購読はこちら

毎月第1水曜日にメルマガを発行しております。
下記URLより購読のご登録をお願いいたします。
メルマガ登録はこちら>>

新着情報をメールで通知

日本モルフォセラピー協会

  • 受付時間10時~17時
  • 定休日土・日・祝

メールでのお問い合わせ