モルフォセラピーなら女性の力を生かせる

2022年09月07日 10時00分

モルフォセラピーなら女性の力を生かせる

「今こそ女性の手で女性の体を守りきろう!」

これはどこかの政党のスローガンではない。モルフォセラピーの話である。


先日、もうじき第二子が生まれる予定の女性から電話が来た。彼女は、そろそろ陣痛らしき痛みが来始めているのだという。ところがモルフォセラピーの実践者である夫が、痛みが出るたびに腰椎と骨盤のズレを矯正すると、たちまちその痛みが消えてしまうのだ。


痛みが出る。夫に矯正してもらう。痛みが消える。そんなことを何度か繰り返しているうちに、「本当に生まれてくるのかしら」と不安になった。そこで私のところに、「モルフォセラピーをやってもらっても大丈夫か」と確認の電話をよこしたのである。


不安にはいくつかの段階がある。最初はわずかな兆し程度だったものが、頭のなかで徐々に増幅していく。その不安の塊が、恐怖の一歩手前まできてマックスになったとき、だれかに相談したくなるようだ。


昔の医者は、患者が熱を出したといって往診を頼みにきても、決してすぐには飛んで行かなかった。熱というのは、ある程度まで上がれば自然に下がってくるものだ。医者はそれを知っている。患者があわてて往診を頼みにくるのは、熱がピークのときであることも心得ている。だから熱が下がり始めるころを見計らって、おもむろに患家に出かけていく。そのタイミングで適当にビタミン剤でも注射すれば、熱が下がって回復に向かう。その結果、患者の周囲からは名医だと持ち上げられることになるのだ。


さて、不安のピークで私に電話をかけてきた彼女も、案の定その日のうちにちゃんと子供が生まれた。しかもかなりの安産だったそうだ。もちろん、モルフォセラピーでは妊娠中の女性や乳幼児への施術は推奨していないので、あくまでも家族の手による施術が前提である。


しかしモルフォセラピーのおかげで、陣痛がやわらいで安産だった話は他でもよく聞いている。また矯正によって背骨のズレがない状態にしておくと、産後の体調不良に悩まされることもなく、授乳のトラブルも少ないようだ。


旧約聖書では、陣痛の苦しみは神から女性に課せられた原罪だとされている。するとモルフォセラピーの実践は、神の意に反していることになるのだろうか。昔ならモルフォセラピーの施術者は、火あぶりの刑に処せられてしまうところである。


それはさておき、今回の女性は結婚前はかなりひどい月経不順だった。そのため妊娠などとても不可能だと婦人科で診断されていたのである。ところがモルフォセラピーを受けてから、生理は順調になった。そして長年の悩みから解放されただけでなく、順調に二人も子供が生まれたのだから、うれしい話である。


彼女だけでなく、初潮から閉経後の更年期まで、何十年にもわたって生理にまつわるさまざまな不調を抱えて暮らしている女性は多い。われわれ男性にはわからない苦しみだが、女性の苦悩は想像の10倍以上だと思っておけばよい。しかしモルフォセラピーによる背骨の矯正によって、それらが解消していく点は重要だ。要するにこれは、背骨のズレがホルモン機能に大きく関与していることの証なのである。


たとえば産後に母乳の出が悪くて、乳腺炎にかかるお母さんがいる。通常なら、そういうときは助産婦(助産師)さんによるマッサージで治してもらうことになる。ところがなかにはあまりに症状が頑固で、マッサージでは全く歯が立たないことがある。そのような状態の人は、乳腺炎の出ているあたりの胸椎が大きくズレてしまっているのだ。


さらに腰椎や骨盤のズレによってホルモン機能が働きにくくなっており、「アシンメトリ現象」による左右差もひどくなっていることが多い。したがってそれらのズレをことごとく矯正すると、てきめんにマッサージの効果も上がる。


このような矯正も、モルフォセラピーのなかでは特にむずかしいレベルの手技ではない。少し練習すれば、だれでも結果を出せるようになる。特に乳房はホルモン機能が正常になった途端、硬い氷が解けていくように極端な変化を見せる点も、施術者としては興味深いだろう。


しかしどんなにかんたんであっても、施術者が男性の場合は、その対象はだれでもいいというわけにはいかない。男性が女性の胸のあたりに触れることは、誤解を生みやすくてトラブルの原因にもなりかねないからだ。


こんなときこそ女性の出番である。女性が女性に施術すれば、男性ほど問題視されることはない。しかも男性とちがって、女性の場合は単なる知識としてではなく、実感を伴って女性の体の問題に対処できるから、やりがいも大きいだろう。


とはいえ、一般の女性には自分以外の女性の体に触れる機会がない。他の女性の胸に触れた経験などない人が大半だ。そのため、女性の体について何も知らない女性は多い。ところが女性の皮膚や筋肉、骨などの体の特徴は、ホルモンの影響が大きい分、個人差も非常に大きいのである。だから女性といえども、女性の体については改めて勉強する必要があることは知っておきたい。


概して女性の体は男性よりもかなりデリケートにできている。そのような繊細な体に対しては、モルフォセラピーのように力を抑えた手技が最も適しているし、効果も大きい。また他の療法に比べて使う力が極端に小さくてすむので、女性の手でもやりやすい。


これらのことからみても、女性がモルフォセラピーで女性の体の問題に対処するのは適任だろう。そこで今後は、女性のモルフォセラピー実践者を積極的に育成し、女性の体のオーソリティを増やしていきたい。


あなたのまわりでも、長年婦人科系の疾患で悩んできたが、モルフォセラピーの体験で改善した女性がいるはずだ。そういう人にこそ、モルフォセラピーの習得を勧めてみていただきたい。それが前著『その腰痛とひざ痛、モルフォセラピーなら、おうちで治せる!』にも書いたように、「幸せの連鎖」につながっていくと私は思っている。(花山 水清)


  • 認定施術院
  • 協会概要
  • お問い合わせ
  • メディア掲載
  • 書籍・DVD

メルマガのご購読はこちら

毎月第1水曜日にメルマガを発行しております。
下記URLより購読のご登録をお願いいたします。
メルマガ登録はこちら>>

新着情報をメールで通知

日本モルフォセラピー協会

  • 受付時間10時~17時
  • 定休日土・日・祝

メールでのお問い合わせ